自宅で発電した電力を繰り返し貯めて使うことができるのが蓄電池。
家庭用蓄電池は産業用蓄電池から発展したもので、以前は工場や鉄道などの予備電源として大規模施設に用いられていました。技術の進歩によって小型で一般家庭にも設置できるサイズの家庭用蓄電池が誕生すると、発売当初に比べ価格は年々安価になっていき、家庭用として普及。
売電や節電など、家計への経済的効果が注目されましたが、東日本大震災における電力不足や計画停電の際に万が一の備えとしても導入する家庭が増えてきました。
蓄電池が動作する仕組みはとてもシンプルで、正極と負極の2つの電極と電解液で構成されています。正極は電解液に溶けにくく、負極は電解液に溶けやすいという異なる性質を持っていて、簡単に言うと負極と正極を電子が行ったり来たりすることで充電と放電を繰り返すというのが蓄電池の仕組みです。
蓄電池にはさまざまな種類があり、それぞれ電極に用いる金属や電解液に違いはありますが、一部の特殊なものを除けば基本的に全て同様の仕組みで成り立っています。
近年の卒FITや電気代の高騰を受けて、すでに自宅に太陽光発電を導入しているご家庭で蓄電を導入したいという家庭は増えています。そこで気になるのが「そもそも後付けは可能なのか」という問題。結論から言うと、後付けは可能です。
ただし設置スペースが課題となります。家庭用蓄電池は電気を貯めておく『蓄電ユニット』と電気を使えるようにする『パワーコンディショナー』という2種類で構成されているため、それぞれが設置できるスペースが必要です。
家庭用太陽光発電の導入が進んだ背景には、太陽光で発電した電気を固定価格で買い取ってもらえるため(固定買取制度(FIT))売電による利益を見込んでの投資という意識が強くありました。住宅用の売電価格は年々下落傾向にあることから、太陽光発電による売電で利益を得るという意味において「太陽光発電の将来性は厳しい」という声も上がっています。
一方で、太陽光発電と家庭用蓄電池を組み合わせることによる節電効果や、万が一の備えとしての役割に期待が高まってきているのが現状です。さらに慢性的なエネルギー不足やエネルギー問題などの社会課題が身近となっている近年において、太陽光発電や家庭用蓄電池は将来的にますます重要度を増していくことが考えられます。
家庭用蓄電池はとてもシンプルな仕組みなので、専門業者に依頼をして設置場所さえ確保できれば、一般家庭でも安全・簡単に取り扱うことができます。繰り返し利用ができ節電にもつながる蓄電池は、エコロジーの面でも着目されており、将来的にも必要とされる製品です。
持続可能な社会に対する関心の高まりとともに、家計の節約という経済的なメリットのみならず、未来への投資として導入するご家庭も今後は増えていくのではないでしょうか。
どんなときも安全で快適なわが家で過ごせるよう、万が一の備えとしても、ぜひ導入しておきたいものですね。